リーバルの日記

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イーガ団のアジトへ突入目前にして彼女がいなくなった。
あまりに突然ことで起き抜けの耳に水を注がれたような衝撃だったが、何とか平静を保ち状況を尋ねると、僕らが寝静まったころを見計らって夜討ちに遭ったとのことだ。
街の中へイーガ団が入り込んだ形跡はなく、夜中笛の練習のために街の外に出たところを連れ去られたようだ。

先回りして単独での潜入をさせろと申し出たが、アッカレ砦の戦いで敵を壊滅に近い状況まで追い込んだとはいえアジト内に潜伏している員数が不明瞭である以上は危険とのことで却下された。
ノロノロ隊列なんて組んでいるあいだにもあの子の身に危険が及ぶかもしれない。
情を抜きにしても、彼女の援護能力は戦線において必要不可欠だ。組織というものの柔軟性の低さを身に染みて痛感した。

作戦の決行が命じられ、即座にアジト内に潜入した。
結論から言えば、彼女は生きていた。だが、無事では済まされなかった。
例の占い師の手が触れたあとであることは、はだけた衣服を目にすれば一目瞭然だった。

その場であの男を始末してしまいたかったが、ナボリスがアジトの入り口を崩した影響で崩落の危険があった。
彼女の無事と引き換えに、僕の手によって奴はまた逃げおおせることになるのだ。今はそうするしか手はないのだとしても、腹に据えかねる。

作戦は無事成功し、イーガ団はわずかな残党を残し散り散りとなった。

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数日かけて無事ハイラル城に帰還した。
激戦と連日にわたる移動によりさすがの僕らも疲弊していたため、報告は後日書類にて提出すればいいとの言葉に甘え、点呼を済ませるなり各自休みを取ることになった。

兵士たちがあげる勝どきや凱歌に耳を傾けつつ、ひとまず彼女を休ませるために部屋へ運んだ。
今回の一件でかなり擦り減ってしまったんだろう。今にも泣きだしてしまいそうな顔で一緒にいてほしいと懇願された。
わざわざ尾を掴まずとも、呼び止めれば悩まず期待に応えてあげたというのに。乱暴にも程がある。

追記:
不思議な夢を見た。空から降ってくる彼女を助ける夢だ。
夢のなかで彼女と何か言葉を交わしたような気がするが、情景は鮮明に浮かぶのにやり取りの内容だけはまるで耳をふさいだときのように不鮮明だ。
彼女とはメドーの繰り手に任命されたときが初対面のはずなのに、この夢のなかの光景は異様に既視感がある。
こんなできごとがもし実際に起こっていたのなら、絶対に忘れはしないだろう。
所詮夢は夢だ。頭ではそう考えているのに、胸の奥にわだかまる違和感を拭い去ることがどうしてもできない。

(2021.11.10)

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