弓への苦手意識から、何となくつりぼりを選んでしまったが、かえって良かったかもしれない。
この堀のハイラルバスは食いつきが良く、思いのほかよく釣れる。
「なんだ、ほかのやつらは一緒じゃないのかい?」
10匹目を逃がしたとき、後ろから突然声をかけられ、驚きのあまり足を滑らせた。
「うおっ!」
強い力で腰を引き寄せられたが、背後でまた足を滑らせてしまったらしく、もたれかかるようにして重みがかかってきたと思ったときには、二人ともびしょ濡れだった。
未だ腰に絡んだままの羽毛越しの力強い腕の感触と肩口に吹きかかる熱い吐息に、心臓の高鳴りが収まらない。
「あーあ……装備が台無しじゃないか……」
肩越しに見上げると、眉尻を下げながら額をかきあげるように手で押さえているリーバルと目が合った。
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人目を避けながら宿屋”合歓“に向かい、店主に無理言って大きな布を二枚お借りした。
その一つをリーバルに広げて渡し、深々と頭を下げる。
「リーバルごめんなさい……!」
「まったくだよ。姫が来いと言うからさっさと任務を終わらせて飛んで来てやったってのに、これじゃ回れないじゃないか」
「本当にすみませんでした。せっかく助けようとしてくれたのに……」
ぐっしょりと濡れた羽毛をさっさと拭き取りながらしかめっ面を崩さない彼にますます申し訳ない気持ちになって、もう一度謝罪すると、リーバルは小さくため息を漏らし、私に向き直った。
「まあいいよ。けど、どうしてもお詫びがしたいっていうなら、今度さ……」
何か言いかけたとき、宿の入り口がガラッと開き、ああっと声を上げインパが駆け寄ってきた。
「お二方、こちらにいらしたんですね!ずいぶん探しましたよ。ずぶ濡れのようですが、何かあったのですか?」
「まあ、ちょっとね」
「どの屋台もたたみ始めていますし、私たちもそろそろ城に帰還しましょう」
ゼルダたちを外で待たせてあるのか、インパは足早に宿から出ていく。
宿の主人に布を返し再度礼を伝え、宿をあとにしようとしたとき、リーバルに肩を掴まれた。
「巻き添えのお詫びに、今度僕の用事に付き合ってもらうからね」
ノーマルエンド
「水難」
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